柔らかな陽光が降り注ぐ春
太陽は優しく子どもらを照らしていた
草木は生い茂り
蝶は舞い
春の花々が嬉しそうにほのかに咲いていた
あたたかい芝生で仰向けになって寝ていた少女は、目をあけると隣に座る蓮を見た
「気持ちがいいね蓮ちゃん」
蓮は何本かのシロツメ草を繋いでいる
うん、と笑顔で返しながら真剣に編んでゆく
その時ザザーっと数秒、風が吹いた
風の訪れを聞き二人は後ろを振り向く
「ごめん!遅くなった!」
「もう、陸遅いよー!」
笑顔でそう言う少女
立ち上がり、息のあがっている陸のもとへ走る
「ごめんね、お母さんと喋ってた」
「瑠璃、出来たよ」
陸と少女のもとへ蓮も来ると
両手の平に花の冠をのせて満足げに見せてきた
少女は冠を見つめるとキラキラとした瞳を蓮に向けた
「私あれやってほしいな」
「俺も!」
蓮はわかったと言うと、ふうと一呼吸した
彼の手にあった花の冠は急に生き生きとし始め
以前よりも艶やかになり
彼の周りの木々や花々も潤いと生に満ち溢れだした