直人side


奈央がバスケ部マネージャー…
てっきり美術部かと思っていた。



―――男子嫌いな奈央のことだ、きっとあのむさ苦しいバスケ部に入ったら、からかわれたり…



俺が入ろうとした部活だったからまだ安心できたけど、他のスポーツの部活だったら…



いや、まだ安心できない。
もしかしたら奈央にちょっかい出す奴も出る可能性がある。



…小さいころ、誓ったんだ。
あの、時から。



奈央を守ると。
大切な奈央を…



奈央、俺は自分が思っている以上に君の事が――



「…さわ、藤沢!」



「!?あ、はい」



そうだ、今は午後の授業…藍沢先生の数学だった。



「どうした、藤沢。ぼーっとしてたぞ」



「すみません、少し考え事を…」



クラスの奴らがクスクス笑うなか、俺は奈央に目をやる。



あ…今、目があった。
と思ったら逸らされた。



昨日もそうだけど、奈央、俺のことも苦手になったのかな…



昔は男の子の友達といえば、俺だけだった。
だから、苦手だったら、ショックかな。



そうじゃないって願いながら俺は数式の答えを書くために、黒板に向かった。