廣祐と出会ったのは、中学1年の秋。


夏休みが終わり、2学期の始業式。


体育館に行く前に、先生が知らない男の子を引き連れて、教壇に立った。


みんながざわざわと騒ぎ出す。


「えー。今日からこのクラスに転校して来た安藤廣祐くんだ。みんなよろしくな」


先生が名前を黒板に書きながら、紹介をした。


「安藤くん。一言」

「…くぼ…あ、安藤廣祐です」


安藤くんは、下向き加減で覇気のない自己紹介をした。

「なんだなんだ。元気ないなー。まぁ、いい。川瀬さんの隣の席空いてるな。あそこに座れ」

先生は、そう言って私の隣の席を指差した。