失いたくないから愛せない


教室には、廣祐の姿しかなかった。



廣祐が席に座ったままじっと私を見てくる。



でもなんだか昨日と違って廣祐の目が怖い。




戸惑いながら自分の席に行き、バックを取る。


千英、先に帰っちゃったのかな?



一生懸命違うことを考えていたら、それを察したかのように廣祐が口を開いた。


「中森、先に帰った」

中森というのは、千英の名字。


今朝、小林くんと鉢合わせした時みたいに、廣祐は冷たい声だった。