失いたくないから愛せない


驚きのあまり、言葉を返さない私に、小林くんの表情が悲しい顔になった。



「もしかして、今朝のこと怒ってる?無理やり引っ張ったから…」


私は、首を横に振った。


「怒ってないよ。びっくりしたけど…」

「そっか!よかった!」


小林くんがにっこり笑った。



その笑顔が優しくて、思わずドキッとして目を逸らしてしまった。



「川瀬さん、もしかして付き合っている人いたりする?」


「え?いないよ!」


「じゃあ、俺じゃダメかな?」



「でも、あたし小林くんのことよく知らないし…」

「付き合っていく中で俺のこと知って行けば良いよ!」


「でも、あたしは…」


「もしかして、好きな人がいるとか?」




ドキッとした。



廣祐の顔が浮かぶ。