失いたくないから愛せない


大きく息を吸って、吐いた。


「マジ、俺ダセーな」

俺が苦笑いすると、恵がまた背中を叩いてきた。


「廣祐より、小林のやつがダサいって!あいつも遊び人だけど、廣祐みたいにモテてるわけじゃないのよ。自分からガツガツ行ってんのよ。確か…噂じゃ、今廣祐と同じクラスの子、狙ってるらしいよ」


「は?マジ?」

「そう。名前なんだったっけ?えっとーほら!小林のやつオリエンテーションの実行委員なんて絶対やりたがらないのに、2組はその子が委員になったから、引き受けたって話し聞いたことある」







「え…?」




頭が一瞬真っ白になった。




オリエンテーションの実行委員?



「あたしも実行委員だから、顔は知ってるんだけど、名前忘れちゃった」



「…川瀬?」


ゆっくりと名前を発した。