失いたくないから愛せない


カサカサ動くやつを退治すると、恵は安心したように息を吐いた。


「お前、何でまだ居んの?」

「廣祐こそ。あたしは、このクラスのオリエンテーションの実行委員なの!」

「あ…そっか」


実行委員…。

加奈子の顔が浮かぶ。


「廣祐は?」

「俺は、別になんとなく」

「何それ。まぁいいけど。あ、そういや今日、真波と別れたんだって?真波、今日早退したよ?」

「……」

「ったく。何人の女泣かせれば気が済むの?」

「わりぃ…」

「あたしは、もう時効だけどね」


恵はケラケラと笑った。