失いたくないから愛せない


小林と腕を組んで歩いている女子がいた。




加奈子じゃない同じ1組の女子だった。




俺が呆気にとられて、じっと見ていると、目が合ったが小林は何食わぬ顔をして俺達の横を通り過ぎて行った。



驚いている俺を尻目に恵が淡々と言った。

「あの2人、3日くらい前から付き合ってるみたいよ」


「は?だって、あいつは加奈子を…」


好きだったんじゃ…?


「だから、そういうこと!」

「え?」



もうわけがわからない。




休んでいる間、何がどうなってんだ?





「ったく。もう、このバカ男は…。もう知らない!教室行こうっと」


恵は俺を置いて歩き出した。