失いたくないから愛せない



「かーなーこ」

夕食後の自由時間、施設の外のベンチに腰掛けていると、千英がやって来た。

「ここに居たか…。何してんの?」

「星、見てた。ここはこんなに綺麗に見えるだね」


「うぁ!本当だー!綺麗ー」


夜空を見上げると、東京で見る星より、断然に綺麗に輝いている。


悲しみを溶かす何かにすがりたかった。


でも、浮かんでくるのは、悲しみの当事者である廣祐の顔…。


「一緒に見たかったなぁ…」

「…安藤くんと?」


千英の言葉にハッとした。


思った言葉を口に出してしまっていた。



でも、なぜ千英の口から廣祐の名前が…?

私がびっくりした顔をしていると、

千英はフッと笑った。