失いたくないから愛せない


恵はカサを開いた。


「はいる?」

「…いい。じゃあな…」

「ちょ、廣祐!」


俺は、カサをささずに雨に打たれながら帰って行った。




その帰り道公園の横で立ち止まった。



俺と加奈子の始まりの場所…。




どうやったら、昔に戻れるのか?



あのころみたいに加奈子と過ごしたい。




どうしたらいいんだ?




加奈子との縮まらない距離が苦しくて仕方なかった。


小林にとられたくないと言いながら、何も出来ない自分に腹が立って仕方なかった。



俺は雨の中、そんな自分に呆れながらゆっくりと歩いて帰って行った。


そして案の定、翌日風邪を引いてしまった。