失いたくないから愛せない


「川瀬さん手伝うよ」


ある日の放課後、ホームルームが終わり、日直だった私が黒板を消していると、安藤くんが帰り際に声を掛けてくれた。


「ありがとう」

黒板を消す安藤くんの横顔を見ていると、

「ん?なに?」

安藤くんがそんな私に気付いた。


「あのね…その…」

聞きたいことがあるけど、中々切り出せない。


その時、


「安藤、帰ろーぜ」


友達が安藤くんを呼ぶ。

「後はやるからもういいよ」

安藤くんは、首を横に小さく振った。