失いたくないから愛せない


その日の帰り道、友達と3人で小さな公園の横の道を歩いていると、ボールを蹴る音が聞こえてきた。


「あれって…安藤くんじゃない?」

友達が先に気付いた。


友達が見てる方向に目を移すと、ひとりでサッカーボールを公園のトイレの壁に当てたり、リフティングをしている安藤くんが居た。



安藤くんは、見たこともないような笑みを浮かべている。


学校では決して見せない、生き生きとした表情をしている。



「サボってサッカーしてんじゃん」

友達が呆れたように言った。


「でもやっぱかっこいい。もったいないよね」

「ホントホント。あれで、もう少し明るかったら、いじめられなかったのにねー。それにさぁー」




友達2人の会話が少しずつ遠くなっていく。


「加奈子ちゃん?」


私は立ち止まっていたのだ。