失いたくないから愛せない


2学期も半ばに差し掛かった頃。

日直だった私は、先生に放課後職員室に日誌を渡して、教室に戻ってきた時だった。

教室にはひとり、泥まみれになっている安藤くんが椅子に座ってうずくまっていた。


またイジメられたんだろう…


「安藤くん…大丈夫?」

私は、ハンカチを安藤くんに差し出した。


「いらない」


安藤くんは、私をチラリと見ると、首を横に振った。


泣いているのかと思っていたが、違った。