「じゃ、いってきまーす」 「はーい、いってらっしゃい!」 ちょっと待て。 なんで夏海のほうがフツーに家族っぽいんだよ。 じゃ、じゃねーよお前。 「はい、康介。あんた前ね」 そう言うと夏海はチャリの鍵を俺に手渡した。 俺はため息をつくと、鍵を受け取った。 「しょうがねぇなぁ……オラ、早く後ろ乗れ」 「へーい」 よっ、と夏海は後ろに飛び乗り、俺の腰に腕をまわした。 「行くぞ。うらっ」 「ウェーイっ」