ハッとして、俺は慌てて口を押さえた。




「な、なんでも……ねぇよ」



「なにさー、気になるでしょーがぁ。言え」




俺は半ば恐喝気味にグイグイ迫ってくる夏海をかわし、スクッと立ち上がった。





「うっせーな、なんでもねーっつってんだろーが」






俺は夏海がそれ以上聞いてこないように、夏海の頭をワシャワシャと撫でた。





「のわぁ~っ、ちょ、やめろって~!髪が乱れるだろーがぁ~」





「よく言うよ、腹かきながら昼寝してたくせに」





「うっさいな。それとこれとは話が別なんですぅ」




夏海は唇を尖らせて俺の手を振り払うと、波打ち際へ駆けて行った。