「……ば、バレンタイン、なので……」




おずおずと差し出した私。




「……」




「……う、受けとってほしいんだけど」




ちょっとこのままの体勢は恥ずかしいというか……。




「……あ、ごめん。驚いて固まった」




そう言った橋本くんは私の手から受け取り、それをじっと見つめた。




「……手作り?」




「うん。昨日作ったの!」




「……本命、とかってやつ?」




「う、うん。もちろん」




戸惑いながら答えると、橋本くんは微笑んで「マジか」と言った。




「ありがと」




「うんっ。……食べてみて?」



橋本くんはゆっくりとした手つきで丁寧に袋を開けて、中からブラウニーを取り出した。




そして、それを口に……。