食べ物は月に1、2回ぐらい。
銭湯にも普通は連れて行ってくれない。

だけどハウザーは、だいぶおかしい店主だ。

こうやってみんなでテーブルを囲んで食事までするのだ。

本当にこの人は奴隷屋なのだろうか。
ふと、時々勘違いしそうだ。

それくらい、ハウザーは変わっていた。

ただ、少女は昔と変わらず店主の言葉に従い、食べるのだった。

でも。王宮にいた時と、今では大違いだとエルは思った。

今の生活のほうが、満足なものだった。

王宮と聞けば、裕福な生活に聞こえてしまうが、実際は全く違った。

食事なんて与えられた事もなければ、光のない地下の牢屋に閉じ込められていただけ。

エルはその生活を、5年も耐え続けたのだった。