ふと、少女は空を見上げた。

騎士達が過ぎ去ってから、しばらく経った茂みの中は、静寂に包まれていた。

夜の闇の中。
月だけが煌々と輝いている。

星は見えない。



疲れてしまった。
たくさん走ったんだから、当たり前だけど。

ゴロンと横になり、少女は瞳を閉じる。

これから訪れる出逢いの物語に、思いを馳せるよう。
まるで、眠るように。


ただただ、月光に少女の髪だけが美しく映えていた。