陽だまりの眠り姫

騎士達の金属が擦れ合う足音が聞こえる中、少女はひどく落ち着いていた。

なぜなのかは、自分でも分からない。


そうだった。
国の牢屋を逃げたした時も。
騎士達に追いかけられている時も。
そして今も。

恐怖や、焦り。
負の感情から、正の感情まで。

少女は何も感じないのだった。

心も。
全てが整いすぎたような、美しいその顔の瞳にも。
何も宿していない。

光さえも、少女の瞳には宿っていなかった。

ただ、意志だけはちゃんとあるのだ。
感情は無くとも、少女は従順なまでに自分の本能に従うのだった。