何か。彼が言った気がした。
でもそんなの、私には探る理由なんて持ち合わせていないし。
だって私は、あくまでも買われた身なのだから。
そう言えば、彼はまたその綺麗な顔を歪ませるのだろうか。
嫌だと、はっきり言うのだろうか。
私に似合うと彼が言ったこの純白のワンピースは、本当に私には相応しくない。
だって。こんなにも綺麗なのだ。
いくら私の髪に価値があろうと、私自身には何の価値もない。
それは、身に余ってしまう。
彼は、シエルは、本当に似合うと思っているのか。
でもきっと、少し分かる。
少しだけ分かる気がしたのだ。
あんなにも大事そうに、私の髪を撫でる人は。
撫でる、人は。
シエルが、初めて…………?
その時、私の奥にちらついたのは漆黒の影。
蔑む目と、暖かい目。
私を愛おしそうに抱く腕と、苦しくむせ返る程の痛みを与える腕。
対極にあるのに。
それは、嬉しさと悲しみに別れるものなのに。
どうして。私の中には同じ場所にあるのだろうか。
