陽だまりの眠り姫

いっそのこと、切ってしまおうか。

何度そう思った事だろう。
だけど、そう思う度に少女はその稀な髪を切ることが出来ずにいた。

たった、ひとつ。
母が私に残してくれた形見だからだ。

一度でも切ることは許されない。

切ってしまえば、この髪は光を失ってしまう。
もしこの光を失えば、母さえも失ってしまうような気持ちになるのだ。

本当は、どこに行っても目立つ自分の容姿が嫌いだ。
この容姿を誇りに思っていた頃なんて、もう忘れてしまったくらいだ。

こんな髪さえ無ければ、少しは楽になるだろう。
だけど。
いざ、髪を切ろうとすると、途端に手が拒むのだ。