「あと、一つ言っておくけど。俺はエルを奴隷として扱わないから。だから敬語もいらない、俺のこともシエルでいい。拒否するって言うんなら、これは命令だから」
「私は奴隷です」
「違う。エルはもう奴隷じゃない。今からは旅の仲間」
「....……仲、間?」
「そう。友達みたいにしてて」

何を言い出したかと思えば、友達?
奴隷の私を友達として扱うのか?
ますます理解不能だ。

「……………」
「嫌だ、はなしだから」
「…分かっ、た」

何を考えているのか分からない。
優しいのか。
たまに強引なのか。
名ばかりの友達という存在の青年。


夏ももうすぐ終わりを告げる。
そして、私は出会った。
夏の魔物に連れ去られ。彼の元へと。

こうして、私とシエルの奇妙な旅が幕を開けた。