奴隷になって生活は長いが、一度も心配された事なんてなかった。

不思議で、たまらない。

主人ではなくとも、普通なら奴隷の心配なんて誰もしないものだ。

少女はそんな彼が新鮮だった。

綺麗な白銀の髪に。
瞳の中は、澄んでいるコバルトブルー。
顔だって繊細で。
通るたびに、女性が振り向くような容姿だった。

「俺はシエル。シエル=リース」

名前は、シエルと言った。
一体なんの目的があって私に近づいたのだろうか。

ただただ疑問だけが浮かび上がる。
彼…シエルは返事を返さない私に、また話し出す。

「俺のことはシエルでいいよ。あと敬語はやめて」