ここは、どこなのだろうか。
土地も、方向も、居場所も。
私は何も知らない。

少女は足を止めることなく、考える。

暗闇の中。
今、私が追われているのは、聖騎士ではなくただの騎士だ。
幸い騎士達は馬を使っていない。

だから、すぐに逃げられるはずなのに。


______________何故か。

理由は知っていた。
ネックになっているのは、自分の髪だと。

長く長く伸びたその髪は、両手で持たなければ地面についてしまう程だった。
だが、きっと理由はそれだけではない。

そう。少女の髪は目立つのだ。
月光にも映える、その金から白に染まるアルビノ。
グラデーションの髪は美しく、希少価値が高い。

始祖の時代から、ずっと。
王家に生を授かった娘に、代々受け継がれてきたこの髪色は、特に稀な物だった。