本当に、彼は何者なのだろうか。


「あなた、誰?」

混乱してしまったままの頭で、口を開く。

「…なぜ、私を助けるの?」

そう言った私に、彼はこう言った。

「君を、奪うため」

私を、奪う?
ますます訳が分からなくなる。

彼は私の事何も知らないはず。
むしろ、私の情報は国の関係者以外に知る者はいないだろう。

一体。なんの目的で私を助けたのか。

ただ、彼が誰かは分からない以上素顔を見せるわけにはいかないのだ。

そう思い、エルはもう一度フードを目深に被り直したのだった。