陽だまりの眠り姫

だから。ただ願うだけだ。

彼女の凍てついた心を溶かしてくれる誰かに、彼女が出逢う事を。


食事が済んだのだろうか。

ゆっくりとパンを飲み込み、横で律儀に手を合わせる彼女をもう一度見やる。

ふと、彼女も視線を私に向け、じっと見つめられる。

ああ、まただ。
また虚ろな瞳をしている、とハウザーは思った。

「…………」

"何?"とでも言いたそうな顔だ。

長年。一緒にいると、彼女の意志だけはなんとなく読み取れるようにはなった。

ただ、やっぱり感情は感じないのだった。