陽だまりの眠り姫

人を殺せと命じられた時。

彼女は躊躇なくそれを実行するのだろう。
そして、人を殺めてしまっても何も感じないのだろう。

だからこそだ。
私は彼女が心配なんだ。

はじめてエルを見つけた時もそうだった。

目には光がなく、虚ろで。
悲しいくらいの無表情で。
そして。

エルには心が無かった。

それから。どうにか彼女の心を癒してあげたかった。

だが、少しずつ距離感が近づいても、彼女が心を開いてくれる事はなかった。

その度に、自分は無力だと思い知った。

だって私はあくまで奴隷屋の店主なのだから。

彼女がいつ、誰かに買われてしまったとしても、私はそれに抵抗出来ないのが事実。