「頑張れ、侑夏。


侑夏はまっすぐな女の子だから、きっと今から走れば間に合うよ。」






「ありがと…



橘君、ありがとう。




ほんとうにありがとう」







私は橘君の大きな手を握った。





橘君のとなりにいれてよかった。




私は幸せだった。




とても笑っていられた。





大好きだった。






でももう、私は迷わないよ。





もう、道を間違えたりしないよ。






もう、前しか見ないよ。






『ちゃんと伝えなきゃ。』







20才の初秋、
私は過去に好きだった人の元へと走り出した。