大切な記憶を

自動ドアを向けて病院のロビーに入ると、玄関の長椅子に視衣の両親と妹たち、そして憐の両親がいた。

「憐…!」

憐のお母さんが憐の顔を見て駆け寄ってくる。

「母さん…視衣は?」

憐のお母さんは、黙ったままうつむいて首を振るだけ。

まだ、集中治療室にいるみたい。

憐のお母さんの後ろから視衣のお母さんがこちらに近寄ってきた。

「衣亜ちゃん、憐くん…来てくれて、ありがとう。迷惑かけて、ごめんね。」

「迷惑だなんて、そんな…。」

私は憐の代わりに言って首を振る。