大切な記憶を

私はドキドキする心臓を押さえるように自分の家に向かってダッシュした。

恥ずかしくて恥ずかしくて仕方なかった。

誰かに見られてはないだろうか。

この近くに同級生が実は居て、全部見られてたとか、そういうことはないだろうか。

そう考えると、不安感が込み上げてきてちょっとこわい。

でも、そんな気持ちの何百倍も、嬉しかった。

憐が、屋上私が頼んだキスを嫌がっていなかったんだって思うと、すごくすごく、ぽかぽかする。

心が温まるような、そんな気持ちを感じられる。

嬉しい、嬉しい、すっごく嬉しい…!

私は思わずにやついてしまう顔をわざと隠さないで走るスピードを上げた。

と。