大切な記憶を

「…ま、待って!」




私はつい反射的に千翔世君を引き止めた。



千翔世君は私を振り返って「ん?」と首をかしげた。




千翔世君は、木漏れ日と空の青さを背に持って、とても輝いて見えた。




私はその眩しさにすこし目が眩みながら、口を開く。




「あなたの、名前は?」





さっき看護師さんが彼の名前を呼んでいたのだから、知っているはずなのに、それでも私は、彼に名前を聞いた。




彼は嫌がる素振りも見せずに、また同じように優しく笑って言った。