大切な記憶を

ああ、夢から覚めるんだと、気づいた瞬間、私は何故か激しい焦りを感じた。





待って!衣亜!!まだ聞けてないの!!!





でも衣亜は、不思議そうな顔をしたままても差し伸べてくれない。




何か、なにか大切なことを忘れてる。






忘れては、いけないこと。





忘れては、いけなかったこと。





私は必死にもがいて衣亜のところまで戻ろうとしたけど、容赦なく白い光の中に落ちていって、やがて看護師さんがカーテンを開けていく音が聞こえてきた。




私はうっすらと、ゆっくりと目を開けた。





私の目元と枕は、涙でぐしゃぐしゃになっていた。