大切な記憶を

私は視衣の車椅子を押して、視衣ママの元へ戻ってから一緒に帰路に着いた。






その帰りも、視衣との会話は憐との事ばかりだった。





時々視衣の顔色を伺いながら話していたけど、ほんとに視衣は憐のことだけ、忘れてしまっているらしい。






今となっては私の恋人ということで視衣の記憶にとどまっているが、きっとあの日、私と憐が一緒に病室に駆け込まなければ、視衣の中に憐という人は2度と現れなかったんだろう。