大切な記憶を

そう言って、憐の手がするりと離れていく。

そのまま憐は背を向けて歩いていった。

私だけその場から動けなくて、遠ざかる憐の背中を見つめた。

憐のぬくもりがなくなった右手を握りしめて、私は固まっていた足を無理やり動かして走り出した。

憐の、背中に向かって。