大切な記憶を

「そう…。でも、記憶をなくしているのかもしれないのでしょう?退院したら、いつも通りの生活を送れるの?」

「それは心配ないと思います。そこまでひどくもないそうなので。」

「そう、よかった。」

先生は言って、ふーと息をついてから続けた。

「とにかく、信崎さんのことは帰りの学活で伝えるわ。ただ、記憶のことは伏せておく。これでいいかしら?」

「はい。ありがとうございます。」

私は先生に軽く頭を下げる。

憐はというと、さっきからピクリとも動いていなかった。