大切な記憶を

ダンダンダンダンッ!

と派手な音を立てて階段を駆け下りているが、ばれてしまったのでもう隠しようがない。

私は開き直って階段を下り終える。

必死で玄関に置いてあるローファーに足を入れる。

「衣亜ー?」

お母さんがリビングから顔を出す気配が背後でする。

しかし私は振り向かないでローファーのかかとを踏んだまま家を飛び出す。