大切な記憶を



「頭、らしいの。」


「…え。」

憐が小さく声を上げるのがわかった。

「モノや出来事を記憶する脳の一部分を、事故にあったとき思いっきり地面に打ち付けたらしくて…今の視衣は寝ているからわかんないけど、もし、目が覚めたら…。」

視衣のお母さんは一瞬口を閉じる。

そして、少しいいずらそうに次の言葉を述べる。


「…私たちの記憶や、今までの過去の記憶、学校での思い出が、視衣の中で消えちゃっているかもしれないの…。」


「…そんな…。」

信じたく、ない。