大切な記憶を

集中治療室の重々しいドアが自動で開き、中から白い帽子を目深にかぶり、白いマスク、白い手袋、白い白衣を着た年配のおじさんが出てきた。

ドアの音に気付いたのか、視衣の両親と憐の両親がお医者さんに近づく。

「娘は…視衣は今どうなってるんですか?」

視衣のお母さんは焦ったように聞く。

するとお医者さんは落ち着いたしぐさでマスクを下げ、額の汗を拭いてから言った。

「落ち着いてください、お母さん。娘さんは無事です。なんとか、一命を取り留めました。」

お医者さんの言葉に、その場にいた全員がほっと息をついたのがわかった。