さくらへようこそ

南田とは、麻子の恋人の南田朔太郎(ミナミダサクタロウ)のことだ。

この町の小料理屋『徒然曜日』で板前の見習いとして働いている。

「あら」

麻子が大倉の存在に気づいた。

「こんにちは」

大倉はニッコリと笑って麻子に会釈をした。

「こんにちは」

麻子も大倉に会釈を返した。

「もしかして、例の茶道家の?」

「そうよ、これから星野さんのところへ行くの」

麻子の質問に美桜は首を縦に振ってうなずいた。