ビールでいっぱいになったグラスを美桜は持ちあげた。

「では…」

美桜の声を合図に4人もグラスを持ちあげた。

「乾杯!」

美桜の音頭にあわせて、
「乾杯!」

4人は叫ぶように言った。

カランコロンカラン

ベルの音がしてドアの方に視線を向けると、1人の男が入ってきていた。

ウェーブのかかったこげ茶色の髪に、黒ぶちの眼鏡が特徴的だ。

年齢は…20代の前半のようにも見えるし、10代の後半のようにも見える。

「あの…」

美桜が声をかけると、男はフラフラとおぼつかない足取りでカウンターのところへきた。