さくらへようこそ

美桜はカウンターに戻ると、皿に盛りつけた鰆の塩焼きを大倉の前に出した。

「鰆の塩焼きでございます」

「…なるほど」

大倉は一言呟くと、箸で鰆の身をほぐした。

彼の丁寧な箸使いに、美桜は思わず息を飲んだ。

育ちのよさが表れているとは、まさにこう言うことだと思う。

この場の視線が集中している中、大倉はほぐした鰆を口に入れた。

「――美味い…」

大倉が呟いた。

美桜はホッと胸をなで下ろした。

「お口にあったみたいでよかったです」

美桜はそう言うと、大倉の前に熱燗を置いた。