さくらへようこそ

ドアの方に視線を向けると、大倉だった。

「…誰だ?」

見知らぬ来客に、工場長は不思議そうに呟いた。

「誰なんでしょう?」

校長先生は首を傾げた。

レコード店も不動産屋も、珍しそうに大倉を見つめた。

大倉は彼らを無視するように口を開くと、
「この店、看板がないんですね。

探すのに苦労しましたよ」

そう言い終えると、ドアを閉めた。

「お待ちしておりました」

美桜は丁寧に頭を下げると、カウンターから出てきた。

空いていた椅子をひくと、
「どうぞ」

その椅子に大倉を座らせた。