さくらへようこそ

「えっ?」

輝は意味がわからなくて首を傾げた。

“娘として”とは、どう言う意味なのだろうか?

美桜は伏せていた目をあげて、輝に視線を向けた。

「私、捨て子だったの」

美桜は言った。

「捨て子…?」

輝が聞き返すと、美桜は首を振ってうなずいた。

「25年前の4月。

今日みたいに雨が降っている日だった。

赤ちゃんの私が『ニコニコ横町』の看板の下で捨てられていたんだって」

美桜は昔話をするように語り始めた。