さくらへようこそ

美桜と肩を並べて、一緒にハイボールを飲む。

レモンが入っているため、甘さは控えめだった。

雨の音が店内に響く。

「上手ですね」

雨の音を破るように、輝は美桜に話しかけた。

「ママのレシピの通りにやっただけなんだけどね」

美桜は答えると、コクリとハイボールを1口飲んだ。

「先代のママさんって、どんな人だったんですか?」

そう質問してきた輝に、美桜は目を伏せた。

「――私を娘として育ててくれて、いろいろなことを教えてくれた人」