さくらへようこそ

黒のソムリエエプロンだった。

「えーっと…」

エプロンの意味がよくわからない。

理解ができない美桜をよそに、男はエプロンを身につけた。

「俺がここで働くと言うのも、１つの方法だと思うんです」

クイッと、男が眼鏡をあげた。

「はあ…」

理解に苦しんでいる美桜に、
「俺をここで働かせてもらえませんか？」

男が言った。

「いやっ、働くと言われましても…」

「俺、イタリアンレストランでキッチンスタッフのバイトしてたことあるんです。

試しに１品料理を作って見せましょうか？」

美桜の返事を待たずに、男はカウンターの中に入って行った。