さくらへようこそ

「…何ですか?」

出された人差し指の意味がわからなくて、美桜は聞き返した。

「1杯だけ」

「何ですって?」

「1杯だけ飲んだら帰ります」

そう言った男に、美桜は大きな目をさらに大きく見開かせた。

「…あなた、どう見ても酔っぱらってますよね?」

そう言った美桜に男は首を横に振り、
「酔ってる訳ないじゃないですかー」
と、言った。

「いや、酔ってます」

「酔ってません」

「酔ってる人はそんなこと言いません」

「まあ、まあ、まあ」

ケンカになりそうな美桜と男の間に校長先生が入ってきた。