「おい。」

目の前男が言う。

「この前は悪かった。」

続けていう。

「祭り行こーぜ。花火あがるみてーだし。」

「行かない」

私はそっぽを向いて言った。

「なんで?」

「行きたくない」

「…そっか。ごめんな。」

男は去って行った。

私も少したって教室を出た。

ピタッ

私は立ち止まった。

廊下には、れおがいたのだ。

れおは、壁によりかかっていた。

誰もいない、静かな廊下に

私とれお。

れおは手をズボンのポケットに突っ込んで、下を向いていた。

話しかけようかな…

「桃山って」

ビクッ

いきなりれおが喋った。

「な、なに?」

私はあわてて返事をした。

「山本と付き合ってたんだ。」

「あっ…うん。」

さっきの話、聞かれちゃったかな…。

「うまくいってないんだっ笑」

れおは、顔をあげて私に言った。

笑った。私の大好きな笑顔で。

「うっさい、ばーかぁ笑」

私も笑った。

「じゃあな。」

「…うん。」

…。

もう…おしまい?

れおはどんな気持ちになったかなぁ。

やっぱり、私のことなんてどーでもいいよね。

…私はとっても幸せだったよ。

……。

期待するからだめなんだろうな、きっと。