「葵っ!何ぼーっとしてんのー?」

そう言って方を叩いたのは、幼なじみの清水 由紀(しみず ゆき)だった。

「あ、由紀。おはよ」

「おはよう。何?また、徹夜でもした?
元気ないぞー?…小説、進んでる?」

「うん。今、ちょうど物語が大きく変わるところまで。」

「そっかぁ…お疲れ様!ああ…早く読みたいなー。
なんたって、天下の天才作家、佐伯 葵の(さえき あおい)大ファンだからね!」

「ちょっとー。まだ作家”志望”だよ?」

なんて言いながらも、この真冬でも頬が赤くなるのが自分でも分かるくらい嬉しかったりする。