昨日すぐ寝たことを後悔したのは、次の日の授業中だった。
授業内容が理解できない。
いつもは復習をして、その日の内容を理解して、予習をして次の日にやることを先取りする。
予定外の運動により、予想以上に疲れていたのだ。

そして、朝も眠たくて身体が動かず、お弁当を作り忘れてしまった。
お昼ご飯を買いに行かなければならないんだけど、どうも私は人込みが苦手だ。

私はため息をついて、購買に向かった。

*****

うん。すごい人…。
教室に帰ろうか迷っていたときに同じクラスの人が通った。

「白沢さん、今日はお弁当じゃないの?」

「朝、作り忘れちゃって」

「そうなんだ。早く行かないとなくなっちゃうよ?」

「うん…」

「もしかして、人込み苦手?」

「うん…」

「じゃ私たちについてきなよ」

そういうと、人込みの中をズカズカと進んでいった。
私ははぐれないようについて行くのに必死だった。

*****

「ありがとうございました」

私は偶然通りかかって声をかけてくれたクラスの人のおかげで
お昼ご飯を買うことができた。
私は2人にお礼を言って、足早に教室に帰ろうとした。

「もしよかったら一緒に食べない?」

「え…あの…その…」

突然の誘いに私は答えに困ってしまった。

「嫌ならいいんだけどさ?せっかくだから一緒にどう?」

*****

断り切れずに私は2人と一緒にご飯を食べることになった。

「白沢さん…だよね?」

「あ、はい」

「私、岡元 凜(おかもと りい)。んで、そっちが木埜 唯 (きの ゆい)」

「ねぇねぇ」

そう言いながら木埜さんが私の肩を突いた。

「メロンパン好きなの?」

私はふとメロンパンの存在を思い出した。
昨日転校生の彼が食べていたけど、私はメロンパンの味が思い出せなかったから
あったら買おうと思ったのだ。

「好きっていうか、メロンパンってどんな味だっけって思ったから」

「いつもお弁当だもんね」

木埜さんはなんか納得したようだった。

『キーンコーンカーンコーン』

「んにゃ予鈴」

*****

「今日メロンパン食ってたよね。木埜と岡元と」

図書館について早々話しかけてきたのは転校生の人だった。

もうクラスの人の名前覚えてるんだ。
私は変なところに感心してしまった。

「なに?」

「え?」