駐輪場から自転車を出すと、ペダルを一気に踏み込んだ。
向かい風が私を阻むように強く吹き付ける。
1秒でも早くお父さんとお母さんのところへ行きたいのに……!!
チェーンが唸りを上げるほどの速度で漕いでも、心の中の不安は少しも消えなかった。
病院に着くと自転車を駐輪場に突っ込み、真っ直ぐ受付へ向かった。
「あの……先程こちらに運ばれた……篠原です。」
胸が苦しい。
息が上がっているせいだろうか。
本当はどこかで信じてた。
そんな方運ばれて来てませんよって。
すいません、間違いましたって……言ってくれるんじゃないかって。
でも目の前の女の人の沈んだ顔を見て、一気に現実に引き戻された。
「篠原さん……案内します。」